退職願いを書きました


退職に関する記事をだらだらと書くことは
どうやら性に合わないようなので一気にまとめて書きます。

退職のきっかけ

きっかけはリーダーとしての作業負荷(プロジェクトの掛け持ち数)が多いことでした。
単純に負荷が多いくらいであれば何とかなりますが、
今回は自分の見ることのできる量を大幅に超えていました。

システムの世界は個人プレーではありません。
複数人で構成されたプロジェクトチームを使ってシステムを完成させます。
「決められたコスト」「決められた期間」「一定以上の品質」を達成しなくてはなりません。
いわゆるQ(Quality)C(Cost)D(Delivery)です。
うまくプロジェクトをコントロールし、QCDを最大化することが僕の役目となります。

僕は過去の経験から、およそ問題なく終わらせられるプロジェクトの規模がわかります。
15人月。これが僕のコントロールできる規模の限界です。

人月というのはいわゆるこの業界の見積方法で、
「1人で15ヵ月かかるよ。15人でやれば1ヵ月だね。」というようなものです。
人数が増えれば、間接業務が増えます。
ですので見積はあくまでプロジェクトの規模の目安。
期間が短ければ難易度も上がります。
今回僕は、5人で3カ月と3人で5カ月の2つのプロジェクトを掛け持ちしなくてはならなくなりました。
他にも規模の小さいものを4つほど見ていました。
後者はなんとかなりそうですが、前者のいずれかがコケれば共倒れします。

始める前から危険な
誰も幸せになれないこのプロジェクトを、
現状のままで始めさせるわけにはいきません。
そこで僕は「リーダーを任せられる人を用意しろ!」と訴え続け、
上司は「人は用意できない。うまくやれ。」の一点張り。

結果僕が取り出したのは
伝家の宝刀「やめてやるっ!!」だったのです。
ふっふっふ。これで人を用意せざるを得なくなるぜ。

失敗とは何か

少し話は変わりますが、プロジェクトの失敗とは何でしょう。
これを明確に説明できる人はおそらくいません。
理由はバスケやサッカーの得点のように明確な勝ち負けの指標があるわけではないからです。
おそらく「プロジェクトリーダー」が「失敗」だと思った場合にプロジェクトは失敗となります。

一番わかりやすいのはシステムが完成せず、「納品」できなかった場合です。
しかし、「プロジェクトリーダー」である僕の口が詐欺師並みにうまくて、
納品せずにお客様にお金を払ってもらうことができたらどうでしょう。
「コスト」も「納期」も「品質」も関係ありません。
お客様がどれだけ怒っていようが関係ありません。
我が社には期待していた額が銀行に振り込まれ、上司たちはご満悦です。

では、納期を調整しシステムは完成したが、コストは大幅に超過してしまった。
上司はおかんむり。でもお客様は期待していたシステムができあがり多少の不満はあるがいい買い物ができた。
継続してウチの会社に仕事を発注。の場合はどうか。

プロジェクトに失敗の定義はありません。
プロジェクトリーダーである僕が「この仕事は受けなければ良かった」と思ったものが失敗と定義します。

僕の考える失敗の状況

僕のプロジェクトに「納品できない」と「検収が上がらない(お金が振り込まれない)」はありません。
「納期」に遅れようが「コスト」をこれ以上ないくらいにかけようが「品質」をいくら下げようが「納品」はしますし、
どんな手を使ってでも「検収」は上げてもらいます。

ただ、うまくコントロールできなかったプロジェクトは悲惨です。

・悲惨な状況1

メンバーが攻撃的になります。
・何が正解かわからない、ゴールが見えない
・あいつ(ドキュメントがいい加減だったり、不具合をやたら頻発するメンバー)を殺してやりたい
・リーダーを殺してやりたい
などと言い始めます。

僕のポリシーとして、
いくら「納期」を伸ばしても「深夜残業(10時以降の残業)」と「休日出勤」はさせませんが
空気はどんどん悪くなり、残業が増えます。

・悲惨な状況2

上司がやたら邪魔をしてきます。

まず、上司が「大丈夫なのか」とやたら聞いてきます。
僕は「無理です」と答えます。
上司「大丈夫なのか?」→僕「無理です」→上司「何とかしろ」
意味がないから、このやりとりやめたい。

次に、やたらスケジュールを書き直させようとします。
ちゃんと遅れているスケジュールは書いてあります。
書き直したところで遅れています。
どうして欲しいのか。

更に、やたら反省文を出させようとします。
反省はプロジェクトが終わってからやりますから、
とりあえず「納品」までいかせてくれないかな。

・悲惨な状況3

メンバー全員が自分の身を守り始めます。
「この質問の回答がもらえないと作業が進められない」と訴え始めます。
トイレに行ったが最後、メンバーの質問攻めが終わることなく席に戻ったころには、
またトイレに行きたくなっています。

メンバーの質問がどんどん悪質になっていき、
「これが決まらないと動けない。この場合どうすんの?」の内容が
「方針が悪い。このままじゃ統一感が・・・」とか
「粒度と観点がわからない。こんなんじゃ設計書を書いても無駄。無駄なことはしたくない。」とかになり、最早いちゃもん。
ドキュメントやプログラミングの全てが中途半端になり始め、何一つ完成しなくなる。

・悲惨な状況∞

キリがないので、後は要点だけ。

納期が延びます。
本来完成して解放されるハズだったメンバーが解放されず、
他のプロジェクトに影響が飛び火。

ソフトウェアの品質は低下。
納品や導入後は、不具合が頻発しお客様も余計な作業に時間がとられます。
僕、プロジェクトメンバー、お客さん、上司の心には大きなトラウマが残り、
再起不能になったり辞めていったりします。
他業種に転職したがる傾向にあるようです。

余談ですが、「鬱」で有名なメンバーは今でも元気いっぱいです。
この辺は良く分かりません。ダイバーシティですね。

迷い

話しを戻します。
退職の旗の下、僕は優秀なメンバーを要求しました。
「全ては天下万民の為」
だったのです……けどね。

旗揚げから一か月。要求は聞き届けられました。
しかし、この一か月という期間が、僕に大きな迷いを生じさせました。

交渉の手段の「辞めてやる」だったのですが、当然待っている間に「転職」は意識します。
その時感じたのは、「自分は今の会社しか知らない。これで本当に良いのか?」でした。

「初めて付き合った彼女と結婚してもよいのか?」に、似た感情です。

当然不満はあります。
でも、比較対象が無いので我慢するに足るものなのかがわからない。
ただ、捨ててしまえばもう戻ることはできない。

「別の会社を経験してみたい」「今の会社にとどまりたい」
この2つの気持ちは、どちらも簡単には捨てられないものでした。

相談

迷った挙句僕がとった手段は「人生経験が豊富な方々と相談すること」でした。

とある人から言われました。
「普通は答えが決まっている状態で、後押ししてほしいから相談するものだ。
お前は決まっていないのに相談するから面倒くさい。」

その通りです。僕は答えも持たずに、相談に行きました。
「これから社員でなくなるかもしれない」社員の状態のくせに、重役全員と相談しました。
状況を知りながら相談に乗ってくれる方々。感謝しかありません。

「こんな人たちがいるならこの会社に留まりたい」と思う反面
「もっと別の会社を見てみたい」という気持ちがより大きくなるのを感じました。

GW突入前日、社長と飲みに行きました。
まだ迷いは晴れていませんでした。

社長

一言で言うと、愛深き暴君です。
北斗の拳でいうとラオウでしょうか。
僕は迷いをそのまま訴えました。

「「辞める」とか「辞めない」とかお前のようにはっきりしないやつは信用できない。
お前なんか辞めてしまえ。GW明けに辞表を出せ」
が、社長の答えでした。

幼稚な僕は深酒をしてしまい更に絡みました。

「俺と話をすると答えが出てしまうことがわかっていたから、一緒に飲みたくなかった」
と、最後に社長は言いました。それ以上は何も言えず、社長と別れました。

GW前半

僕はこの期に及んで、次のことを思っていました。
幼稚過ぎる反抗です。

「このまま辞めるのは癪だな。どうやって謝って居座ってやろうか。」

小物過ぎますね。惨め。

徳川家康は、武田信玄に三方ヶ原でこっぴどくやられ
恐怖で糞尿を垂れ流した時の自分の肖像画を書かせたと言います。
その惨めさを忘れないよう。

僕も、あやかりたいのでイメージを残しておきます。

家康像ですが。

GW後半

頭も冷えてきて、シンプルに考えてみました。
「留まるべきか」「外に出るべきか」

「留まる」姿を思い浮かべた時は「ざわざわ」しました。
「外に出る」姿を思い浮かべた時は「わくわく」しました。

もう「留まるは無い」が改めてわかり、
不遜かもしれませんが「自分は外に出た方がもっと「世の為、人の為」になる」
と、確信していました。

そこで僕は、心をこめて退職願を書きました。
Googleで「退職願 書き方」で、一番最初に出てくる文言そのままです。

退職願の提出

GW明け初日。

僕の上司である課長と部長に、
「直筆の退職願を作成しました。正式に受理をお願いいたします。」
とだけ書いてメールを送り、形式的に時間を頂きました。
迷いがないことを伝え、自分の退職願は受理されました。

退職までの顛末はこのような形になります。

社長に謝罪

喫煙所でニヤニヤしながら社長に近づいていったら悪態をついていました。

色々相談に乗って頂きありがとうございました。
短い期間ですが、もうしばらくの間ご迷惑をおかけします。

返ってきたのは、「お前あれだけ大騒ぎしておいて、辞めるとは何事か!!」でした。

謝ってから結構経ちましたが
今でも「お前は8月以降時給1000円で使ってやる」と言っています。
僕は7月末で退職することになっています。

おわり


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