昨今のプログラマーの質について

一口にプログラマーと言っても様々です。
ここでは「派遣プログラマー」について記述したいと思います。

ソフトウェアハウスの財務

派遣について語る前に、何故派遣を利用するのかについて財務方面から書いてみます。

ソフトウェアハウスはいわゆる開発環境となる
パソコンやソフト以外にほとんどお金がかかりません。
原価のほぼすべてが人件費です。
仕入れ値など考えなくてもよい割とわかりやすい業界です。
つまり人件費さえ押さえれば割と利益が出る業界と言っても良いのではないでしょうか。
突然の不況に備え、仕事が激減した際にすぐに切り捨てられる「派遣」を選択肢に入れます。
代わりに固定費である社員は「派遣」に出してしまうことで定期預金替わりになりますし、
勝手に育って帰ってくるので良いことずくめのように見えます。
ビバ、派遣。

中小零細企業のソフトウェアハウスの実態

一般的に中小零細のソフトウェアハウスの収入源は以下の2パターンとなります。

「派遣業務」と「請負業務」
「派遣業務」とは、お客様先へ出向しお客様の指示に従って作業を行う仕事です。
「請負業務」とは、お客様の要求する成果物を仕上げる仕事です。お客様が作業指示をしてはいけません。

「派遣業務」のメリットについてはすでに記述しましたが、
「請負業務」にも当然メリットがあります。

「請負業務」は成果物の価値に対価が支払われる

つまり、請負業務はお客様の期待する価値さえ満たしてしまえば、
作業しなくても問題ないということです。
究極は「こういうものを作りませんか?」と既に社内に存在するものを提案しそのまま納品してしまう事です。
まぁ、中々うまくは行きませんがうまくいけば丸儲けですね。

仮に社内にあるものを
転用できたとしても開発するほんの一部だったりするので
基本的にはそんなおいしい話はありません。
転用する為に習得する時間が必要だったりして、
本末転倒のケースもままあります。

ただ、お客様からはどうやって完成させるか見えないので
いくら別の業務を並行してやっていても問題ないのが最大のメリットですね。
派遣で出向先にいる場合は、さすがに内職したりできませんしね。
デメリットは請負業務の負荷を調整しにくい点です。

「派遣」と「請負」のグレーゾーン

念のため言っておきますが推奨しているわけではありませんし、あくまで聞いた話です。
どこの会社がとか、そういう話ではありません。

請負業務のルールとして請け負った会社の人間が作業指示を出して成果物を仕上げなければなりません。
発注元は作業指示をしてはいけませんし派遣法に引っかかります。
しかし「請負契約」でお客様先へ出向しお客様元にいる「請負っている会社」の社員が
指示をしているという形式をとる場合があります。
この「請負」には顧客先で時間を拘束されている為
請負のメリットがありませんので「派遣業務」と呼ぶことにします。
厳密には「請負」です。

「請負業務」と「派遣業務」のメリットとデメリット

「派遣業務」は、定期的に収入があり安定している点がメリットです。
コストも収入も予想できます。
しかし、売り上げが低いのがデメリットです。また、突然引き上げることも難しいです。

「請負業務」は、うまくやれば利益率が高い点がメリットです。
しかし、収入とコストの予測は難しいです。
いつ仕事が入るかもわからないし、どのタイミングでどの位の負荷になるかもわからない。

「派遣業務」と「請負業務」は相互に補完しあう形になります。
つまり、ローリスクローリターンとハイリスクハイリターンの関係にあります。

ソフトウェアハウスの構造

利益を大きくするためには請負で何とかするしかありません。
しかし、仕事がないのに社員を置いておくわけにもいきませんし、
最終的には以下になります。

社員は「派遣」に出して、「請負」を派遣で完成させる

請負業務をやり遂げる責任感のある派遣など皆無ですから
さすがに社員全部派遣に出すことはありません。
請負業務のリーダーは社員である僕のような人間が掛け持ちしながら担当します。
社内にいるリーダーは掛け持ちだらけなので、
退職のお話しで書いた「リーダーができる人間をよこせ」というのは
「派遣に出している人間を戻せ」と言っているのと、実はほぼ同義です。

退職願いを書きました – まとめ

「社員を派遣に出して、ウチの仕事を派遣で実現するって何かおかしくない?」と、
発注してくれるお客様には良く言われますが、こういった背景の中でいびつな状況は生まれます。

プログラマーの質について

さて、本題です。
実をいうと質以前の問題です。

派遣されているプログラマーに愛社精神や帰属意識は皆無です。
原因を作った人間である管理層が
愛社精神や帰属意識を求めるのはさすがにお門違いでは?
しかし往々にして、そういった管理層の方々をお見掛けします。

出向している人間が、お客様先で居眠りしているということをよく耳にしますが、
「お客様に契約を切ら」れても「自社の都合で契約を終わらせ」ても
次どこか別の場所に飛ばされる状況は変わらない上に、
今の場所に長く居たいわけでもない、
別に自分の会社に愛があるわけでもないので仕方がないと言えば仕方がないのですね。
最初はあった責任感も徐々に薄れていき…
最悪クビになってもどこか派遣契約すれば何も変わらないですし。

そもそも「派遣」は成果物に責任を負う必要がないので、
「無断欠勤」しようが「居眠り」しようが文句を言われる筋合いはないのかもしれません。
「(欠勤の)連絡しなくても良いかな」とか、
「(仕事が終わったんで)寝てても良いかな」とか、
「(終わってませんけど)別に報告する必要はないかな」とか、
一見おかしな主張も実はおかしくないのです。

実は「派遣業務」は「個人の責任感」だけでなんとかなっているのです。

元々「責任感がない」のか「たらいまわしの中で失われた責任感」なのかはわかりませんが、
派遣先はいくらでもあり、しかも会社は戻ってきてほしくないので勝手に探してくれる。
転々とするだけでずっと給料がもらえるユートピアがそこにはあります。
必要な資格は、ストロングハート。

そんな日本の派遣プログラマー。

おわり

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