ラプラスの悪魔 – 見積は難しい

僕はブラック・スワンの愛読者であり、
不確実性を予測することは不可能という立ち位置です。

見積の段階で全てのリスクを予測することは不可能ですし、
計画の段階でソフトウェア開発に必要な資料を完璧に作成することも不可能です。

ラプラスの悪魔。
例えば、テニスの壁打ちで壁から跳ね返ったボールがどこへ戻ってくるのかは予想がつきます。
その延長で、もし仮にすべての状態を解析できるだけのデータと能力があれば、
全ての未来を予測することは可能だというお話です。

もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、
かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、
この知性にとっては、不確実なことは何もなくなり、その目には未来も(過去同様に)全て見えているであろう。
『確率の解析的理論』1812年

ラプラスの悪魔 Wikipedia

そんなのムリに決まってんじゃん。


例えばコンビニの商品発注を考えます。
POSシステムを用いて数日後のペットボトル飲料を発注します。
最近は温かくなってきたから果汁よりお茶の方が売れるだろう。
新商品のあの飲料は今売れ行きが良いけど次のロットはどうだろうか?
一時的なものだと怖いよね。でも欠品してしまうのももったいないし。
そういえば近所でイベントがあったよな。

僕は学生時代コンビニでアルバイトしていましたが、この発注業務が苦手でした。
在庫の山をつくったかと思ったら売れ筋商品を欠品させたりともう無茶苦茶です。

センスがない!!とお叱りを受けましたが、どうすることもできませんでした。

そもそも僕はエスパーではないので未来を見通す力はありません。
センスで片づけられましてもねぇ。

それっぽい言い訳をしてますが、
棚に並んでないものを誤発注するミスもしょっちゅうだったので救いはありません。
予測うんぬんより注意力の問題かもしれません。
しかし今回は本文の趣旨とズレますので割愛します。
残念残念。


需要を予測して適切な在庫を仕入れておくことは重要ですが
そこのところがカンコツというケースは多分にあります。
製造業の部品手配も同じです。
金額は桁違いで会社の生命線です。
まさに根幹。背負うプレッシャーは計り知れません。

ちなみに請負のソフトウェア開発における見積も似たようなものです。
基本、エイヤ!で見積もるのでただの勘です。
当たれば少しだけ楽なプロジェクト。
外れれば・・・許してもらうまでの無期限デスマーチです。
不安しかありません。

少し話は変わりますが一時期、東京オリンピックの国立競技場の見積がずさんと話題になりました。
僕は当たらなくて当然だと思うんですよ。

新国立競技場のずさんな見積もりから何を学ぶか – 日経ビジネス
https://business.nikkei.com/atcl/report/15/258308/091300047/

国立競技場云々以前に東京オリンピックの開催が危ぶまれています。
リスクを予見できるかのように見積ミスを袋叩きにしていた人達は、
なぜ今のコロナの状況に気付けなかったんでしょうかね。

根拠がなくても妥当性のある数字は必要?
失笑ものです。


予測部分はストレスが大きく根拠がなければ精度は知れています。

日経ビジネスの記事では
「根拠がなくても妥当性のある数字は必要」
とか言ってますが、そんな記事書いてるくらいなら株でやって儲ければ良い話です。

予想外のインシデントなんてしょっちゅうです。
重症化して手戻りが多発することもあります。
考慮漏れがいくつか見つかったら5倍のコスト超過とかザラです。
計画段階で予見することができるものもありますが、全てに保険をかけることはできません。

東京オリンピックはグダグダですね。
国立競技場のデザインやオリンピックのロゴや建築見積で大騒ぎしてたかと思ったら
今度はコロナでオリンピックの開催自体が危ぶまれているというね。

つか、この状況で何故日経平均は落ちるどころか上がるのか?(2020年2月)
全く予測できないことだらけです。

ラプラスの悪魔 – 見積は難しい

おわり

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