炎上プロジェクトとドキュメント

ひとたびプロジェクトが炎上を始めると
プロジェクトはコントロール不能になりプロジェクトマネージャーは祈るしかなくなります。
その混乱度合いとして僕はドキュメントの管理状況が参考になると考えています。
あなたの参画するプロジェクト、ドキュメントが発散していたりしませんか?

今回はドキュメントの切り口でプロジェクトマネジメントを語ってみようかと思います。

ドキュメントの役割

ドキュメントには以下3つの役割があります。

  1. 納品物としての資料
  2. ステークホルダ間で共有(コミュニケーション)するための資料
  3. 思考を整理するための資料

尚、プロジェクトにおいてステークホルダは以下の通りです。

  • 上級管理職 : 事業を定義する人
  • プロジェクトマネージャー : 計画や動機付け、体制の構築、開発者の管理をする人
  • 開発者 : 技術力を発揮しソフトウェアやドキュメントなどの成果物をつくる人
  • 顧客 : 要求を発信する人
  • ユーザー : 開発された成果物を利用する人

納品物としての資料はユーザーマニュアルなど運用・保守時を想定したものが中心です。
プロジェクトのドキュメント成果物として最低限必要なものになります。
納品物として規定されているためひな形が用意されているケースも多々あります。
納品物であるため作成することはプロジェクトの進捗そのものです。

厄介なのは2と3の納品物として必要のないもの。

コミュニケーションコスト

納品物として必要のないドキュメントの存在は厄介です。
工数に含まれていない場合も多く軽視しがち。

納品如何に関わらず必要な情報は
開発メンバーへ伝達する必要があります。
口頭で済ますかドキュメントにするか。

では、リーダーへ質問しその回答や指示を以ってメンバーが動く
ドキュメント無しプロジェクトを考えてみます。
もちろん情報の伝達手段はすべて口頭です。

チームメンバー3人の場合

1日に5回(1回あたり5分)それぞれのメンバーがリーダーに質問するとします。
以下の状況が考えられます。

5分 × 5回 × 3人 = 75分 (=1.25時間)

1時間ちょい程度なら少しの残業で何とかカバーできるレベルです。
リーダー自身にも一人分の仕事を積んで進捗を稼ぐことができます。

チームメンバーが5人の場合

同じ条件で開発メンバー5人のシナリオを考えてみます。

5分 × 5回 × 5人 = 125分 (約2時間)

単純に人数が増えたので人数分増えています。
果たして本当にそうでしょうか?

実際に消費する工数(チームメンバー3人の場合)

チームなのですから自分の時間だけを考えてはいけません。
実際は以下の組み合わせでやりとりが発生します。
また2人で話をするわけですから当然2人分の工数が奪われます。

5分 × 5回 × 6通り × 2 = 300分(5時間)

実際に消費する工数(チームメンバー5人の場合)

5人(リーダーを含むと6人)になると組み合わせの模様が素敵です。
失われる工数は洒落になりませんけど。

5分 × 5回 × 15通り × 2 = 750分(12.5時間)

12/5時間。1日8時間で考えると毎日1.5人が何もしていないのと同じ。

ドキュメントがある場合(チームメンバー3人の場合)

次に最新の情報がドキュメントに集約されており
メンバーが自分自身で情報を取り出せるシナリオを考えます。
自分でドキュメントを探して読めばよいだけの環境です。

5分 × 5回 × 4人 = 100分(約1.7時間)

口頭での伝達に比べて3.3時間の節約です。
ドキュメントの作成に1日3.3時間までならかけて良いことになります。

ドキュメントがある場合(チームメンバー5人の場合)

次に大本命チームメンバーが5人のケースを考えてみます。

5分 × 5回 × 6人 = 150分(約2.5時間)

口頭での伝達に比べて10時間の節約です。
ドキュメントの作成に10時間までかけて良いことになります。

炎上の最中のんびりドキュメント整理することは心が咎めるかもしれません。
でも、毎日の話ですからね。

炎上プロジェクトの特徴

炎上プロジェクトは、ひっきりなしに会話やメール、チャット、電話のやりとりが行われます。
フリーフォーマットの文書が散在しどこに最新の情報があるかわかりません。
全体像も見えずどこまでがわかっていてどこからわかっていないのかもわからない。
何度も同じ説明をしたり何度も同じ内容を新規文書で書きなぐったり。

焦りが生じ手を動かすことに必死になり手戻りが多く発生。
資料の整理もおぼつかない悪循環。
メンバーはリーダーの回答待ち。
リーダーは誰よりも手を動かし指示待ち人間にイライラ。

ドキュメントを侮るなかれ。

まとめ

僕の経験で恐縮ですが、
最新の情報をメンバーが自分で引き出せるようにするだけで
プロジェクトは楽になり扱える規模も大きくなります。

冒頭の内容に話を戻しますが
あなたのプロジェクトはドキュメントが発散していたりしませんか?
きちんと定義した文書に情報を集約し最新を維持する。
結構おススメです。

メンバー数が少ないと効果は限定的ですが、
その場合でもやって損はないと思います。
マネジメントしてる感が出ます。

おわり

PR

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です