休めないのは生産性が低いから→生産性の低いおまえらが悪い→もっと頑張れ
何だったら手を貸してやるよ。残業規制でな。ふふ。
が、おそらく政治家様や専門家の主張なのでしょう。
いわゆる働き方改革ですね。
「日本人の生産性」は先進国で19年連続最下位 非効率なホワイトカラーの働き方はどう変わるべきか
日本のサービス業、生産性は米国の「半分」 英・独・仏も下回る
「日本の生産性は先進国で最下位」を素直に受け止めない人が多いのはなぜか
ひどい言われ様ですね。
生産管理系システムを専門にやってきた僕としては、
生産性は色々と分けて考えた方が良いと思うのですね。
今回は、少しその辺をお話しさせてもらえればと思います。
とある中間管理職Aさんの悩み
Q.日々の生産ライン(プログラマーの場合はプロジェクト)は混乱状態です。
どう考えてもこなせない生産量に、頻繁に発生する派遣の入れ替えと毎回やらされるOJT。
最近は働き方の多様性も求められるようになり、働くママさんや外国人労働者にも配慮しなければなりません。
上司の安心感のため、必要性を感じないデータや報告書を求められます。
生産性を上げろとは言われているのですが、その指示は所詮「もっと頑張れ。うまくやれ。」
「では、具体的にどうすれば良いのですか?」なんて聞こうものなら
「そんなもん自分で考えろ」と言われ過去の栄光を散々聞かされた挙句、ただの悪口や人格否定を浴びせられます。
追い詰められた私は、自分の能力に問題があると考え残業時間を増やしました。
それでも足りなければ休日出勤もします。
最近は残業規制も厳しく業務時間を確保することも難しくなってきました。
隠れての休日出勤がバレようものなら、通院させられたり資料提出を求められたりと
何かとやりにくい世の中です。
色々工夫して何とか効率を上げようとしても減らせない部分はあります。
その為、今のやり方では絞りカス程の改善効果しか期待できません。
小さく積み重ねた改善効果もトラブル一つで吹き飛びます。
また、自分のマネジメント能力についてはこれまでも悩んできました。
良く「お前のマネジメント力が足りない」とか言われるのですが
マネジメント力を否定されても急には上がりません。
結局、たどり着いた原因は以下の3つです。
①自分の能力が足りない
②上司が無能
③メンバーが無能
しかし、酒を飲んで愚痴を垂れても
原因が個人や能力では、対応にかなりの時間を要します。
一体、私はどうすれば良いのでしょう。
私は休みたいのです。
そもそも生産性とは
経済学で生産活動に対する生産要素(労働・資本など)の寄与度、
Wikipedia
あるいは、資源から付加価値を産み出す際の効率の程度のことを指す。
「付加価値を産み出す際の効率」つまり「付加価値」と「生産時間」の二つの軸で表されます。
例えば、肥満度を表すBMIは身長と体重の二つのパラメータで導き出します。
BMI値を下げたい場合、あなたならどうしますか?
日本の政治家や専門家、ブラック企業のマネジメント層はきっと
「BMIが高いのはお前らの身長が低いからだ。今すぐ身長を伸ばせ!!」
とおっしゃるのでしょう。
やたら生産時間がやり玉に上がりますが、昨今は付加価値の方が重要に感じます。
これまで日本ではカイゼンをお家芸としてやってきた矜持があります。
今もその精神は引き継がれており、それ自体は素晴らしいものです。
しかし、それを笠に着て生産時間にしか生産性を求められないのであれば
その程度の会社なのでしょう。
現在の日本の中間管理職の多くは、
BMIの例でいうと身長をコントロールする権限しか与えられていません。
伸びしろの少ない生産時間をどうこうしたところで、たかが知れています。
稼働率の話
ついでに稼働率の話もしておきます。
どうも皆さん色々ごっちゃにして稼働率を上げることに執着します。
稼働率は総稼働時間から実際に稼働していた時間を割れば算出できます。
設備の稼働率は、100%に近い状態で働かせ続ける必要があります。
何故ならば設備は値段が高く停止時間がそのまま損失につながるからです。
しかし、稼働率を人間に当てはめるのは少し違います。
人を投入しているのだから使わないと損という意見は承知しています。
では、思考実験です。
常に2人で回しているコンビニと5人で回しているコンビニどちらが効率が良いでしょうか。
コンビニの坪数は30坪程度、売り上げが20万円~50万円/日とします。
結構リアルなところだと思います。
20万円のところが2人で回していて、50万円のところは5人で回しているとなると引き分けですね。
仮に、50万円のところが2人で回しているとすればどうでしょう。
それは非常に効率のよいコンビニということになります。
2人で回せるところを3人投入していたらどうでしょう。
仮に余った一人が勤勉で休まず掃除し続けたとしても売上は上がりません。
話を戻します。
設備やシステムは役割が限定されていて融通が利かないのでフル稼働させるべきです。 段取りや中途半端な停止が一切ないのが理想。
何だったら年中無休で動き続けて欲しい。
一方、人の時間はなるべく減らす。
品だしやレジ打ち、商品の手配を効率よくやれば良いのです。
売上に直結しない掃除は最低限で良い。
ちなみに先程のコンビニの例ですが、3人で働こうが5人で働こうが稼働率100%です。
しょーもない仕事をだらだらやって「ホント忙しいわぁ・・・。」と言えば良いだけですから。「いやぁ、仕事なくて暇だわ~。」なんて宣言する人はいません。
設備の稼働率は測定できますが、人の稼働率は測定できません。
人の稼働率を上げるというのは枡が統一されていない年貢と同じで、
いくらでもチョロまかせます。
なので、人の稼働率を上げるという発想は諦めましょう。
むしろ仕事を奪う仕組みを考えて、暇になる人間を増やす方向で頑張るべきです。
結局、人の稼働率を上げると生産時間が増えるので生産性としては下がる方向に作用します。稼働率を上げて生産性を上げろ!は、少しおかしな表現です。
まとめ
とある中間管理職Aさんの悩みに対する回答
A.神とか仏とかに祈る
仕事自体の生産性が低い為、現状対策はありません。
きっとあまり儲からない仕事についているのでしょう。
決してあなたの能力が低いからではないと思います。
似た境遇の人と傷を舐め合い、耐えてください。
最終的には体や心に異変をきたし、限界に達した時にしかるべき形に落ち着くことでしょう。
今は国が限界までの時間を短縮してくれます。
残業規制とかで。
開き直りと自己嫌悪の狭間で、虚ろな休日を過ごしていた2年前。
やった。連休だ。やっと休める。
→本当に休んで良かったのだろうか。
→納期に間に合うのだろうか。
→休んだのに間に合わないなんて許されないよな。
を休み中ずっと繰り返していました。
ホント、壊れる前で良かった・・・。
そんなことを想うGW最終日。
おわり
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