僕がITベンダーに勤めていたころは
「XXX開発プロジェクト」や「XXX社向けXXXXプロジェクト」など後ろにプロジェクトと名の付く仕事が中心でした。
製造業に勤める今、ワーキンググループと呼び名の異なるプロジェクトが仕事の中心です。
プロジェクトとは、一回限りの繰り返しのない仕事である。
プロジェクトの定義はNASAやPMI(米国プロジェクトマネジメント協会)などで行われていますが、
いずれにも共通する要素をピックアップするとこのようになります。
- 有期性がある業務(期間が限定され、明確な開始と終了がある業務)
- 独自性がある業務(繰り返しのない1回限りの業務)
- 明確なプロジェクト目標の存在
しかしながら、今の方が圧倒的に成功確率が低いのです。
何故なのか考察してみます。個人的な意見です。
ITベンダープロジェクトと製造業ワーキンググループの特徴を比較します。
項目 | ITベンダープロジェクト | 製造業ワーキンググループ |
---|---|---|
期間 | 数カ月 | 数年 |
金額 | 数百万~数千万 | 数百万~数億 |
担当者数 | 1~10人 | 1~2人(+評論家10~50人) |
説明責任者(リーダー) | 立場や肩書き | 関係しそうな部署にトップダウンの任命 |
主な業務 | 開発 | 会議 |
成果物 | 開発成果物(アプリケーション等) | 運用成果物(新しい業務フロー等) |
目標 | 検収 | 効果 |
ITベンダーは納品してお金をもらうという明確な目標があります。
本来、その先の開発成果物を使った効果を見据えるべきでしょうが中々難しいのが実態です。
なぜならば、検収が上がって一度手を離れたプロジェクトにコストは割けません。
すぐに次のプロジェクトに移ります。
一方で製造業のワーキンググループは、目標が生産性向上や売り上げ向上などの効果です。
何かツールを導入するなどのマイルストーンはありますが、報告として求められるのはそれによって得られる効果です。
ゴールが、検収などのような点ではなく状態や状況のようないわゆる線。
終わりがうやむやで今一つ達成感が無いんですよね。
この辺の見せ方が下手なリーダーだと大変です。
冒頭で成功率が低いと書きましたが、
今のワーキンググループには終わりがないという表現が正しいかもしれません。
改善はそもそも終わりがないものなのかもしれません。
ツールの導入は成功したが効果を出せないというケースが多々あります。
それまで賑わっていた会議は一人・二人と姿を消します。
いずれ関係者や役員への報告も、報告を受ける側が興味を失い形だけの報告会になります。
これいつまでやるの?
という疑問を抱えつつ、さして報告する内容もない状態の報告会が続きます。
ツールの導入は成功してもその後がグズグズなんてザラ。
ソフトウェア関係のツールの導入なんて以下のいずれかです。
普通成功しますよね。
- PCにアプリをインストールする
- サーバーを立上げる
- サービスを契約する
目標があるようで無いワーキンググループ。
生産性〇%向上!!製造コストXXX万円削減!!
うたい文句の割に人員や残業は減りません。
ワーキンググループがうまく行かない理由は、目標(ゴール)の設定にあると考えています。
誰しも背景やら目的やら目標やらを一生懸命議論するのですが、
壮大で抽象的な文言の何やらカッコいい目標を設定します。
「生産性の高いプロセスを構築する」というような
何が達成できればゴールなのかわからないゴールなんですよね。
ゴールは定量的に表して、きちんと測定できるKPIを設定し成功と失敗を明確化しましょう。
あまり定量化したがりませんけれども。
ITベンダーやコンサルは良いのです。
何やら壮大な文言を並べてお客さんの興味を引けば良いのです。
中小企業であれば下請法などで守られてるのでユーザーの効果によらず検収は上がります。
成功率が高いと感じるのはこのためですね。
現象として納期に遅れた・コストが超過したなどはありますが、ゴールテープを切ることはできます。
とはいえ、成果物の納品に失敗し検収が伸びてゴールが不明確になった時は地獄ですが。
製造業のワーキンググループはゴールテープを切ることすらできない場合が多々あるので、
僕は成功率が低いと感じるのかもしれません。
効果を出さなければならない人達は定量的な目標を立てて
プロジェクトの位置を把握しゴールまでの距離がどれくらいあるのかを測定しましょう。
成功も失敗もわからない状態は失敗よりも苦しいと思います。
成功も失敗もわからないプロジェクト
おわり
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