肚落ちしていないDXの理解に対し、周囲は容赦なく心を折ってきます。
「厳密には違う」と。
定義がふわっとしているDXの名の下、多くのお金が失われようとしています。
国内で回ってくれる分には良いんですけどね。
COVID-19の折、日本は大きく出遅れました。
ITの巨人、マイクロソフト様がDXで本気出すと言ってます。
国内企業はたくさん飛びつくでしょうね。
「DXはマイクロソフトの戦略そのもの」、日本MSが経営方針を説明
さて、デジタルトランスフォーメーション。
何気にネーミングセンスが良いんですよ。DXの"X"もカッコ良い。
ちょっと古い感じも良い。タカラトミーのメカのせいですね。
昭和おじさん達のDXに群がる様子が目に浮かびます。
前回の記事「DXの設計書① – 御社のDXは失敗します」ではネガティブなことを書きましたが、
本音を言うとDX(デジタルトランスフォーメーション)はやりやすいと感じています。
言葉の意味が想像しやすいからです。
定義うんぬんはありますが、字面だけ見ると案外直観的。
デジタルにトランスフォームする(変形させる)。何から?
当然、アナログからのトランスフォームです。
話は変わりますが、ちょっと前のバズワード「IoT」はひどかった・・・。
Internet of Things、モノのインターネット。
ぶっちゃけ何を言っているのかわかりません。
それに比べれば、かなりイメージしやすいDX(デジタルトランスフォーメーション)。
チャンスです。
ちょっと真面目な定義に行きましょう。
南山大学の青山先生の言葉をお借りします。
(1)デジタイゼーション(Digitization)
情報のデジタル化.紙などに記録されている情報をデジタル化し,コンピュータによる処理とネットワークによる交換を可能とする.
(2)デジタライゼーション(Digitalization)
業務のデジタル化.特定,あるいは,一連の業務でデータを利用しコンピュータで遂行可能とする.
(3)DX (Digital Transformation)
組織全体にわたる業務のデジタライゼーション.
[情報処理 Vol.61 No.11 Nov. 2020 特集 DX(デジタルトランスフォーメーション)]より引用
- 情報のデジタル化
- 業務のデジタル化
- 組織全体にわたる業務のデジタライゼーション
肝心の3番目が具体的にイメージできません。しかし、細かいことを気にしていたら前に進めません。
デジタイゼーションもデジタライゼーションもデジタルトランスフォーメーションってことにしちゃいましょう。
ぐっと敷居が下がりましたね。紙をデジタル化すればDXです。
厳密には違うって?じゃあ厳密に言ってみ?
些事にとらわれていては何も成し遂げることはできません。
割り切りが大事。
プロジェクトを成功させるには、評価する人に「成功」と認識させるしかありません(「DXの設計書① – 御社のDXは失敗します」参照)。
評価する人を見極められましたか?
評価する人は上司やプロジェクトマネージャーではないはずです。
ユーザーでもありません。もしかしたら社長でもないかもしれません。
ドラマだと掃除のおばさんか運転手です。
概念的な言葉は中々しっくりきません。
DXについて熱弁している人も、ちゃんと調べている人もきっと肚落ちしていません。
よくわからないものに成功か失敗の評価なんてできないものです。
いかにも日本ぽいですが、変なものを褒めたらそれには責任が伴います。
日本人に褒めさせるのは至難の業。
ちなみに、前回と同じ引用ですがDXに関する経営者・役員の思い浮かべる施策を列挙しておきます。
・クラウドの導入:73.8%
・デジタルツールの導入:63.9%
・AI:55.7%
・業務改善:54.1%
・リモートワーク:44.3%
・オンライン営業:42.6%
DX(デジタルトランスフォーメーション)を「知っている」経営者は70%、うち89.4%が経営課題として捉えていると回答より引用
この理解の人達に、直球勝負で成功を認めさせるのは月に行くより難しい。
自分の中のDXの定義がふわふわしていると絶対うまく行きません。
周囲は「厳密には違う」と言って人の自信を折りますが、自分なりに定義し思い込みましょう。
ブレたら終わり。死の彷徨です。
おわり
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