DXの設計書⑯ – ユーザーを味方につけよ

ゴールや目的が「XXシステムを構築する」になっているケースをよく見かけます。

手段が目的になってますが大丈夫ですか?

程度の差はあれど、システムやソフトウェアは秩序やルールに従わせるものです。
人にはそれぞれ価値観があり、そぐわなければ秩序もルールも煩わしいだけです。

何の縛りもなく自由にやれてたユーザーはストレスを感じます。
ユーザーにとってシステムの導入はストレスです。


例えば「システムを使って効果を出す」がユーザーサイドの表向きのゴールですが、
本音かどうかは疑わしいものです。

効果が出て手が空いて新しい仕事を積まれたらどうします?
効果が出て残業時間が減ったら給料減りますよ?

ユーザーに
自分のデメリットのために頑張ってくれ!
と頼むのが、DXやシステム化の面白いところです。

効果を出せてうれしいのは誰ですか?
経営層やそこに連なる上役でしょう。
ユーザーサイドと経営サイドの価値観が矛盾します。

空いた時間で新しいことにチャレンジできる?
それは経営視点の理想論です。


燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや(えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや)
ツバメやスズメのような小さな鳥には、オオトリやコウノトリのような大きな鳥の志すところは理解できない。
小人物には大人物の考えや志がわからない、というたとえ。

goo辞書 – 燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや

システムと名の付く土俵の上でシステム屋の多くは俺様です。
人が集まるとプライドのぶつかり合いです。
相手が自分より下と認識すると技術用語を並べて賢いアピール。
そもそも上も下もありませんし勝ち負けの話でもありません。
自分は忙しいと口にするのもね。
他の人が忙しくないと思っているように聞こえます。

ユーザーからしたらデメリットを強要されてるのに
上から目線で説明されてはたまったものではありません。

日本人は仕事の内容より人で仕事を選ぶ傾向にあるそうです。
プロジェクトの成功にはシステム屋の品性が関わってきます。
ユーザーが「使えない!!」と声を上げるかどうかはエンジニアの人となりによるところが大きいです。
成果物の出来もそうですが、それ以上に人の好き嫌いの影響が多いように感じます。


マクレガーのX理論Y理論というものがあります。

X理論「人間は本来なまけたがる生き物で、責任をとりたがらず、放っておくと仕事をしなくなる」
Y理論「人間は本来進んで働きたがる生き物で、自己実現のために自ら行動し、進んで問題解決をする」

対立する二つの理論ですが、人の立場や環境によってXとYバラバラの状態です。
場合によっては一人に二つの状態が存在します。
プロジェクトにおいて経営者を満足させれば良いのはその通りですが、やはりWin-Winが良いですからね。
ユーザーにも喜んでもらわないといけません。
ユーザーが「これは使いやすい」「これは無いと困る」と言ってもらうのはやはりうれしいものです。
その声が経営者層に届けばプロジェクトが成功と判定される可能性が高くなります。

「自己実現」とか「効果を出して認められたい」みたいな話ではありません。
根性論、人情、熱いセリフは日本の恥ずかしいドラマでしか通用しません。

システム屋は基本的にはシステム構築や作るのが好きです。
意識の高い発言をして抵抗をあおります。

システムなんか興味の無い人の気持ちを考えましょう。
マズローの5段階欲求説(Wikipedia – 自己実現理論)でいうもっと低次の欲求です。

何より普段から仲良くしてユーザーに好かれておくのがよいですね。

DXの設計書⑯ – ユーザーを味方につけよ

おわり

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